犬健ラボ誕生秘話
1.運命の出会い?小さな家族が仲間入り
時は2020年大晦日、私は映画を見るためショッピングモールに訪れていました。
(確か鬼滅の刃無限列車編の4DX版だった記憶)
映画の開始まで時間が少々あり、モール内をフラフラと歩いている時たまたま目に入ったペットショップで運命的出会いをします。
入店して数分でこの子をお迎えすることを決断しました。
犬種:トイプードル
性別:♀
以前からよくペットショップには立ち入っていたものの購入に至ることはなかったのですが、この子には何か感じるものがありました。
映画を見に来ていたのですが、
「ついに犬を買ってしまったか」
というワクワク感と、ちゃんと幸せに育ててあげられるかの不安が頭をよぎり、正直映画の内容はあまり頭に入ってきませんでした。
その日にそのまま連れて帰ることはできないので(何やら検査などがあるらしい)、その日はそのまま帰宅。
我が愛犬の名前をどうするか妻と議論することになります。
候補1:杏寿郎(見にいってた映画の主役的キャラ)
候補2:お餅(大晦日に出会った+白い犬)
候補3:忘れた
杏寿郎は流石にふざけすぎですが色々悩んだ結果、候補2を少し変更して「もち」と命名することになりました。
※後で知ったのですが厳密には白色ではなく、クリーム色としての登録だったんですけどね
そんな形で2021年1月に小さな家族が我が家の仲間入りしたのです。
この「もち」の存在が犬健ラボを立ち上げる大きなきっかけになる出来事がこの後起こります。
2.愛犬「もち」の成長。共に直面する犬ケア市場の闇
犬の成長というのは本当に早いものです。
人間だと18年ほどかけて肉体的成長を少しずつしていきますが、犬は7~10ヶ月ほどで成犬サイズまで成長します。
「もち」を我が家に迎えてから日に日に成長する姿を見て、微笑ましいのと同時に健康管理にも気を使うことが増えました。
「大切な家族なので健康面はちゃんとしてあげたい」
私だけでなく、多くの飼い主さんがそう考えているはずです。
日常の中で利用する犬用品は健康に良いものを与えてあげようと考えるようになりました。
私は元々本業で商品の企画やマーケティングを行っていたこともあり、良い犬用品を探す調査が趣味になりつつありました。
そこで見えてきたのが犬用品の市場、もっと大きい括りでペット用品市場は闇が深いということでした。
昨今だとネットニュースで「ペットショップの裏側が〜」みたいな記事を見て、業界の不健全さが透明化されている部分もありますが、ここで私が注目したのが犬の健康に関連する商品です。
詳細は難しい話になってしまうので割愛しますが、簡単に説明すると
・人間用化粧品と異なり雑貨扱いになることを良いことに、誇張表現を多用した派手な広告で飼い主さんの危険を過度に煽る
・解約の仕方が難しい定期購入で実質的に縛りをつける
などが代表例です。
(皆様も心当たりあるものがいくつかないでしょうか?)
ただし、私も闇なんて表現で発言していますが、実はこれらの行為が日本の法律に触れないというのも事実なのです。
つまり、法的には合法。
※2023年に誇大広告で検挙された犬ケア用品メーカーの事例もありました
私がいくら声をあげたところで何も問題にはならないのです。
(それどころか、私が名指しで企業名を出して闇呼ばわりした時には逆に訴えられてしまうでしょう)
また、「誇大広告で解約しにくい定期購入の商品でもモノ自体が良ければ良いのでは?」という意見もあると思います。
確かにそれはその通りです。良いモノであり、消費者が満足しているなら何ら問題ないと言えるでしょう。
しかし、私はここももっと健全化できると考えました。
誇大広告をかけている商品のモノ自体が良くてもその価格構造を問題視したのです。
「ユーザーが気づいていないだけで異常に高い」
誇大広告で集客を行い、初回は数割引のキャンペーンがあるとか、有名な獣医さんに監修してもらっているとかで商品を良く見せつつ、飼い主さんの不安を強めに煽り判断力が鈍った状態で購入をさせる。
飼い主さんは「大切な家族のためなら」と思い、いくら高くても商品を購入して満足しているものの、実態として多大な広告費が原価に乗っているだけです。
もちろん、安い洋服もハイブランドの洋服もモノ自体の原価構造は同じであるが価格が十倍異常違うというのはよくあることです。
販売価格自体は企業側が決めることですので、健全・不健全という話は他人が口出しできる内容ではないのですが、「私ならもっとコスパの良い商品を開発し、飼い主さんの不安を煽ることなく健全に販売できる」という自信がありました。
ここから犬の健康に特化した商品を研究する犬健ラボというプロジェクトが立ち上がりました。
苦労の連続。商品化までの道のり
2021年春先よりついに犬健ラボの商品企画を始めます。
私の中で必ず商品化するモノというのはこの時点である程度決まっていました。
ここからしばらく仕様を具現化するための製造工場を見つけるためにオンライン商談に明け暮れます。
「いくつか商談を重ねれば製造工場の候補がいくつか出てくるだろう」
そう考えていましたが現実は甘くありませんでした。
自分の理想を実現する工場が見つからない
これは予想外でした。
私はこれまでに人間用の化粧品製造は携わった経験がありつつも、ペット用のケアアイテム製造に携わったことがなかったため予測できなかったことがいくつかあります。
1.既製品をベースにした商品化しかできない工場が多い
すでに市場に流通している商品をベースとして、中身そのままでパッケージだけ変更するであったり、ちょっとだけ成分を追加するくらいの製造しか出来ないという工場が多かったのです。
犬健ラボでは「他社の商品で良いなら商品化しない」という理念があり、製造する商品は完全オリジナルで製造できないといけません。
商談をした多くの工場が既製品ありきでの製造でした。
2.円安による原価の不透明性
ちょうどこの犬健ラボプロジェクトを始動して以降、為替の状況が悪化していきました。
「国内で製造するのに為替が関係あるのか?」
という疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、原料や資材などは海外から輸入しているものも多いです。
つまり、円安になればなるほど商品原価は高騰してしまいます。
プロジェクト始動のタイミングが1ドル110円程度、このページの執筆時点が150円程度です。
海外で全て製造した商品を輸入する場合、この差額だけで36%もの原価高騰が発生する計算になります(少し極端な計算ではありますが)。
イメージ湧きにくい方は今まで1食1,000円で食べれていたランチが1,360円になるようなもんです。月換算したら結構痛い出費ですよね。
それくらい為替の変動は小売業者にとって影響があるものなのです。
当然、円安が進み続ける状態で見積もりを出してもらっても工場側は"あくまでもその時点での見積もり"しか出せません。
実際に私が発注を行うタイミングではもっと原価が高騰してしまう可能性があるということです。
こればかりは工場が悪いとかではないのでしょうがないことですが、このプロジェクトを始動させた理由の1つとして、前述した通り『価格構造の健全化・高コスパ化』を目指していたこともあり、原価設定は非常にシビアな内容です。
この原価問題に直面し、他社商品が高くなるのも多少納得できる部分がありました。
しかし、私はそれでも最初に自分が掲げた目標を見失うことはせず、原価問題に向き合い続けていきました。
3.一元化の難易度
できるだけ品質の高い商品を手に取りやすい価格で販売するためには、如何にスムーズな運営をできるかがカギになると考えています。
余計な人件費をかけないというのが私のモットーです。
人件費をかけ、それを回収するために商品価格を高めに設定するくらいなら、人件費を削ることで価格を安くする方を選びます。
経営的にはこの考え方は間違いなのかもしれませんが、このプロジェクト自体が私の愛犬「もち」や私と似た考えを持つ飼い主さんとそのワンちゃんのために良い商品を作りたかったというのが原点です。
『多くの人に認知されずとも、知る人ぞ知るブランド』になれればそれで良いのです。
だからこそ犬健ラボでは少数精鋭体制で臨むことになるのですが、その際に重要なのが発注業務の一元化でした。
資材や原料などを別々の工場で製造したり、梱包発送をまた別の業者に委託をする手続きが必要になってくると、少数精鋭ではスムーズにいきません。
発注から販売までを1通のメールのみで完結させられるような製造業者との協力体制が不可欠だったのです。
イメージ的には上記です。厳密には一般的メーカーの発注時には複数の工場に発注し、それぞれが完成したら1箇所にまとめて梱包を行ったりします。
この作業は各協力業者への連携やり取りが必要なので、一般メーカーでは人件費がそれなりに必要となる部分です。
私はここを一元化できるように、製造から販売まで1オペレーションで成り立つようにできるように各方面へ協力を打診してきました。
これらの問題以外にも小さなトラブルはありましたが、主にこの3つが犬健ラボの企画から販売までに2年もの期間を有した原因です。
しかし、色々な苦労がありながらも突然転機が訪れるのです。
全ての苦労が解消!?犬健ラボ本格始動
時は2022年梅雨、気づいたら1年以上が経過していました。
愛犬「もち」はこんなに大きく育ちました。
お迎え当時は2.5~3kg程度の体重になる予定と言われていたものの、育ってみれば6kg程度のややデカプーに。
私はというと、1年経過しても各方面へのアポイントメントと商談を続けていました。
流石にこれだけの月日を重ねていると、ダメなものはダメなんだと思い込み、商談時に伝える要件も少しずつ緩くしていたのを覚えています。
条件を緩くすればいくつか商品化が実現できそうな製造工場の候補も増えてきました。
それでも自分の中の理想との乖離に葛藤して、結局発注まで進まない。
商談に時間を割いてくれた工場側としてはいい迷惑です。
「妥協して相談に乗ってくれた工場と提携するか、プロジェクト自体を諦めるか」
そんなことを考えながら新規工場と商談をしていたところ、理想を全て実現化するように協力してくれる工場が現れたのです。
私の企画による商品の開発や、為替リスクの問題、発注から販売までの一元化などをカバーできるようになりました。
諦めなければなんとかなるを体感した瞬間です。
ここからはサンプルのクオリティ追求に数ヶ月ほど四苦八苦するのですが、そんなものはこれまでの苦労に比べたらなんでもありません。
その時の私は協力業者への感謝の気持ちと、早く素晴らしい製品を1匹でも多くのワンちゃんたちに届けたいという熱量に溢れていました。
2022年9月、商品の販売目処が立ったところで株式会社プロセスエッグを設立。
プロセスエッグという社名には私がこれまで様々な過程を歩んできて、沢山苦労したことがありつつも、『その過程(プロセス)を卵(エッグ)として商品を世に放出し続ける』。そんな想いが込められています。
「いや、会社名は犬健ラボじゃないんかーい」
と思った方もいるかもしれませんが、今後犬ケア用品以外でもトリミングサロンや犬用雑貨など、ワンちゃんの役に立つアイテムを考案できる自信がついた時に他のブランドも展開するという構想があり、プロセスエッグと命名しました。
そこからは商品の完成までサンプル品のチェックやデザインの制作などを進めます。
シャンプーのサンプルチェックを手伝ってくれている愛犬「もち」。すごく気持ちよさそうに協力してくれました。
こちらは歯磨きジェルのサンプルチェック中。無味無臭設計なのに積極的にペロペロ。トロッとしたジェルが好きみたい。
そしてまた時は流れ、2023年3月。
ついに念願の第一陣商品であるPureDental(歯磨きジェル)がリリース。
第二陣のMistyCoat(グルーミングスプレー)が4月にリリース。
第三陣のBOTANICAL SHEA PAW(肉球クリーム)が7月にリリース。
第四陣のHAPPY FRAGRANCE SHAMPOO(シャンプー)が9月にリリース。
執筆時点では発売から9ヶ月経過し、4,813人ものお客様に犬健ラボを選んでいただきました。
これには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし、この結果に慢心せず今後も商品開発を抜かりなく行い、本当の良いものを全国のワンちゃんと飼い主さんの元へ届ける活動を続けていければと考えています。
すでに販売している商品群に関しても、ユーザー様の意見を親身に受け止め、今まで以上により良いモノへアップデート出来るように運営して参ります。
これからの物語を一緒に創りませんか?
ここまで犬健ラボの誕生秘話を読んできただき、ありがとうございました。
私たち犬健ラボは前述した通り少数精鋭での運営を心がけることで、無駄な人件費をカットし、その分を商品価格へ反映させるように努力しています。
その一方で、人件費をカットするということは価格を抑えることができても、多くの知恵を集めにくいということでもあります。
私たちが販売する商品の価格帯は「品質を考慮すれば安い」という自身はあるものの、単価だけ見れば決して安いものではありません。
ですので、今後の商品開発や既存商品の改良を是非ともユーザーの皆様からいただくご意見踏まえ行っていくことで、皆様と一緒に犬健ラボ製品のコスパを向上させたいと考えています。
私たちはその意見全てに目を通し、一人でも多くのワンちゃんと飼い主さんにとってプラスになる内容なのであれば投資を惜しみません。
・商品へのレビュー
・メールやLINEへのご意見
・SNSでのメッセージ
など、どんな形でも構いませんので、犬健ラボ製品の感想・意見を遠慮なくお寄せいただければ幸いです。
皆様の1意見によって犬ケア用品業界をより健全化し、多くのワンちゃんが買い求めやすい製品を提供できるようになると私は信じています。
この物語はまだ序章にすぎません。
私たちはこれからも多くの困難に立ち向かうことになるでしょうし、その度に乗り越えることで、犬ケア用品市場と向き合い続けます。
犬健ラボの理念に共感いただける方は、これからも私たちの活動を応援していただけると嬉しいです。
一緒に犬健ラボを創って参りましょう。
長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
犬健ラボ
代表 平河内奨